夜の海辺は涼しくて最高。
満月が見えたら何を思いますか。
私は満月が見えたら今日は大潮やな……といつもそわそわします。
大潮というのは海の満ち引きの差が最も大きい日のことを指しますが、潮通しがよくなる(風通しが良いみたいなニュアンス)ので魚がよく釣れる良い潮とされています。
普段周りに魚釣りをやってるって人はそんなに多くないのですが、やったことないけどやってみたいって人は最近結構聞くので、かなり頻繁に夜釣りへ行ってる私が、夜釣りのどんなところに魅力を感じているかとか、これから釣りはじめてみたい人向けに、明るい時間帯の釣りのことを書いてみようと思います。
目次
夜釣りの魅力
真夜中に外出するのってちょっとわくわくしませんか。
しかも海へ。正直釣りじゃなくても楽しい。
お菓子やドリンクを買って海へ繰り出す釣りはピクニックの延長線のように感じる時があります。 日没後は日焼けしないってのも結構大きいですね。 釣れないときは竿を置いてぼうっとしたり釣り仲間とぽつりぽつりお喋りしたりする。
夜の海岸は基本真っ暗なので、明るい時間帯よりも視覚が制限されて釣りをするのは難しくなるけど、それを逆手にとって他の感覚を研ぎ澄ます良い機会になっています。
潮の匂い、肌に感じる陸風、魚が何かを捕食する音、釣り糸から手に伝わる海流……。
魚が釣れた時の気持ちの感じ方も、明るい時間帯とはまた少し違ったものがあります。良い魚が釣れた時、なんと言ったら良いか……冒険に出て何かを発見した時みたいな……?
釣れた魚体をライトに照らしてうお~すげ~なにこれ……きれい……ってなります。やはり実際やってみんとわからんかも。言語化が難しいです。
暗いと心細い。
ある程度都市だったら外灯があったりして夜釣りも比較的やりやすいけど、私は普段まあまあ田舎の港町で釣りをしているので、外灯や自販機があるとすごく助かるし、こういうときに文明のありがたみを感じます。
自然の灯りもあります。月です。
暗ければ暗いほど分かりますが月ってめちゃめちゃ明るい存在で、夜に自分の影が海面に映るとああやっぱり太陽を反射しているんだなと実感します。月の光に照らされた魚体の美しさも別格です。良い写真がないのが惜しい。ちなみに月の有無で釣果(釣りの成果)が左右されることもある。自然はマジで繊細かつ雄大。
あと、夜に限った話ではありませんが、しばしば他の釣り人とふらっと情報交換をすることがあるんですけど、これが結構個人的に気に入っているコミュニケーションの形で、見ず知らずの人に挨拶とか釣り場の情報を簡潔に交換する行為はどこかゲームの世界っぽくないですか?筆者はやったことないけど、どうぶつの森はそんな感じなのでは……?
挨拶にはちゃんとメリットがあって、特に一人で夜の暗い釣り場にいるときは、自分の存在を知ってもらうことで何かあった際の安全面にもつながるし、何より孤独が和らぐ。
一番孤独が和らぐのはやはり漁港の猫。
筆者が普段夜釣りでどんな魚を釣っているのかちょっと紹介します。
- メバル(写真上)
煮つけがうまい。アカメバル、シロメバル、クロメバルの3種の総称で、実は「メバル」という魚は存在しない。写真はクロメバルだと思う。ルアーで狙うメバル釣りはメバリングと呼ばれている。
- カサゴ(写真中)
から揚げがうまい。西日本ではガシラとかホゴとか方言が色々ある。ごつごつした見た目とは裏腹に正面顔がかわいい。筆者の推し。
- アジ(写真下)
何にしてもうまい。昼のエサ釣りでも比較的簡単に釣れるので人気。ルアーで狙うアジ釣りはアジングと呼ばれている。
上記の魚たちを普段はルアー(疑似餌)で狙って釣っていますが、同じルアーで他にも色んな魚が釣れます。そこも面白い。
気をつけていること
自然のなかで遊ぶことは本当に楽しいことなんですけど、やはり自然なのでナメると命を落とします。夜の海は尚更なので、安全面に関しては明るい時間帯の釣りより気にかけています。特に意識していることは、
- 複数人で行く
- ライトの予備電池の用意
- ライフジャケットの着用
- 防寒着を持っていく(思っているよりだいたい寒いことが多い)
- 海を見つめすぎない
最後の「海を見つめすぎない」というやつですが、これ本当に危ないと個人的に思っていて、釣れない時とかにぼうっと海面を見つめているといつの間にか海に引き込まれる感覚があります。下手をすると落ちる。
これも夜の神秘的なところとして好きですが、夜特有の海中の濃い闇は魔力的な何かがあるのかもしれません。いや本気で言っていますよ。
釣りをやってみる(明るい時間帯)
夜釣りはちょっと危ないレジャーということもあり、釣りをやったことない人にいきなりおすすめはできないので、まず始めるなら明るい時間帯の釣りがおすすめです。
初めての人に釣りのことを一から説明するとめちゃめちゃ長くなってしまうのでかなり簡潔に書きますが、きっかけ程度に読んでもらえたら嬉しいです。 詳しいことは、ぜひ書籍やインターネットで調べてみてください。
あと最初に書いてしまいますが、ぶっちゃけ経験者と一緒に行くのが一番楽です。
道具を借りて使い方を教えてもらったり、実践で雰囲気をつかんでもらうのがベストかなと思います。登山を始めるときも似たような感じだと思う。
あと釣具店に行ってみて店員さんに「釣り初めて!」と伝えたら、道具選びなど一から教えてくれます。大型チェーン店の方が店員さんの人数が多いので、ゆっくり教えてもらえたり品揃えが豊富だったりするのでおすすめです。
いるもの
- 釣り竿、リール、釣り糸
この3点がセットになったものが、初心者向けに1500円~3000円くらいで売っています。最初はこれで十分釣りができますが、低価格帯のものは海水や潮風で錆びやすいので、使った後はすぐ水洗いした方がいいです。大事に使うとちゃんと長持ちします。
- ライフジャケット
海に誤って転落した時のための救命胴衣です。転落した時の生存率がかなり上がるので、必需品です。最近になって船で釣りをする場合は桜マーク(国土交通省の定めた安全基準を満たした印)がついている救命胴衣の着用が義務化されました。
- 仕掛け
魚がかかる針やその他周辺のパーツがセットになったものが売っています。消耗品なので2〜3セット余分買っておいた方が安心です。 様々な釣り方があり、仕掛けの種類も無数に存在するので、初めてでもやりやすい釣りを簡単ですが下に紹介します。
あると便利
- ハサミ:釣り糸と仕掛けを結んだ時に余る糸を切ったりする
- ウェットティッシュや雑巾:エサや魚を触ると手が臭くなる
- クーラーボックス:氷や保冷剤を入れて新鮮なまま魚を持って帰れる
- 水汲みバケツ:海水を汲んで魚を入れたり釣り場を汚したときに洗ったりできる
始めやすい釣り
サビキ釣り
撒き餌をするので高確率で何かしら釣れるため、初めての釣りでよく採用される釣り。アジやイワシなど回遊魚がよく釣れる。針が多くて仕掛けが絡まりやすいのが難点。
ちょい投げ
思いっきり沖へ遠投する投げ釣りとは違って、軽めの仕掛けを少し投げて底に沈めるだけの釣り。海底に生息するキスやハゼ、カレイなど釣れる魚種も多い。虫エサを使うのでハードル高い人もいるかもしれない。慣れです慣れ。
探り釣り
個人的に筆者がかなり好きな釣り。胴付き仕掛けやブラクリ仕掛けなどを使う。色々なエサが使えるし釣れる魚種も多いので奥が深い。基本的には防波堤の足元や消波ブロックの隙間に仕掛けを落とす。魚がいたら釣れる、いなかったら釣れないというめちゃめちゃシンプルな釣りなので延々と釣り場をウロウロします。
釣れやすい時期や時間帯
魚種によって釣れる時期は変わるのですが、おすすめは秋です。釣れる魚種の多さ、大きさ、気候の良さ、総合的に良いと思います。余談ですが筆者の経験上、一番釣れない時期はゴールデンウィークです。釣り仲間の間でもこの意見は大体一致してるんですよね……。
釣り用語で「マヅメ時(どき)」というのがあります。魚が活性してる時間帯のことで一般的に魚が釣れやすいとされています。朝マヅメと夕マヅメがあり、それぞれ日の出、日没前後1〜2時間くらいの薄暗い時を指します。漁師の朝が早いのは、たぶん朝マヅメ狙ってるんだと思います。
気をつけること
自分の命を守ること、環境保全のこと、周囲の人と気持ちよく釣りができることなど、特に重要だと思うものを挙げると
- できれば複数人で行く
- ライフジャケットの着用
- 悪天候時は中止する(釣り竿に落雷しやすい)
- ゴミは絶対持ち帰る
- 周りの釣り人との間隔を開ける(仕掛け同士が絡まらないための暗黙のルール)
- 立ち入り禁止の海岸には入らない
- 魚は食べる分だけ持って帰る
近年よくゴミ問題で「海洋プラスチック」「マイクロプラスチック」というワードをよく聞きます。それらは海洋生物に害があるだけじゃなくて、最終的にプラスチックを取り込んだ魚介類を口にする人間にも影響があるかもしれない。ゴミの管理は徹底しましょう。
また「魚は食べる分だけ持って帰る」というのは漁業でも重要なことで、後世に資源を残すために必要分以上の魚介類は獲らない、持続的に自然の恵みを享受するための大切な考え方です。まあ日本の漁業ではあまり守られていませんが……。
少し堅いことを書いてしまいましたが、まあなんやかんや言って釣りは構えず平和にのんびりやるのがいいってものです。
自然に触れるアクティビティは心身ともにかなりいい感じにしてくれます。でも山へ行くにはある程度都市部から離れないといけないことが多い。対して海は都市部と隣接してるパターンも多くて、意外とアクセスしやすいのではないでしょうか。しかも釣りは、ソーシャルディスタンスを保ちやすく昨今の密集しにくい状況にも対応できるレジャーなので、実は今の時代にすごく合った娯楽なのかもしれない。