生活に溶け込む遊び
新しいけん玉
けん玉というと、羽子板とかベーゴマとか、そういうものと同じような「昔の遊び」のイメージがあった。小学校の頃に学校や児童館でちょっと触って以来、ずっとそんなイメージを持っていた。でも最近のけん玉は全然違って、とにかくすごい進化を遂げているらしという話をきいて、本当かな、と思いつつ買ってみたところすっかりハマってしまった。なんでもアメリカを中心に、ストリートカルチャーの文脈で受け入れられているらしい。Youtubeで「kendama」と検索すると海外でのけん玉の受容のされ方がわかる映像をたくさんみることができる。カッコイイ人たちがカッコイイ音楽に合わせて、カッコイイ技をどんどん繰り出している。
生活に溶け込む遊び
スケートボードとかBMXとか、そういったストリートっぽいカルチャーもかっこいいけど、自分はあんまりそういう文化に馴染みがない。そんな自分がやっててもいいんだろうかとちょっと不安に思っていたところがあるんだけど、そんな心配は全然要らなかった。
けん玉を買ってみて思ったのだけど、けん玉は生活の中にスッと溶け込むことのできるお手軽で奥深い遊びだ。すごく上手な人は本当に上手だし、めちゃくちゃかっこいい。嘘でしょ!ってぐらい難しい技をどんどん繰り出す。でもやっぱり昔からある遊びなだけあって、やっていること自体はとてもシンプルで、いつまでも飽きずに楽しめる。
あとはやってみるとわかるけど、膝や腰や全身を使うのでちゃんとやると結構疲れる。それだけ運動になっているということだと思うのだけど、その割に場所を選ばずどこでもできる。家の中でもある程度スペースを確保できればすぐできるし、ベランダでやっても、外に出てやってもいい。ちょっと遠出するときだって、小さいからどこへでも持っていける。
そして何より、生活の中のちょっとした隙間みたいな時間に遊ぶのに最適なのだ。自分はいつもけん玉を自宅のテーブルの上に置いていて、あと10分後に家をでるんだけどちょっと時間があるなあ、みたいなときに手にとって練習している。というか、そういう時間ができるとついつい手に取ってしまうのだ。あともうちょっとでこの技できそうだな〜とか思って没頭してしまって、気づいたら10分ぐらい経ってる。
けん玉は一人でやってもいいし、みんなで集まってやっても楽しい。人と一緒にやってると、技のやり方のコツを共有できるし、難しい技が成功したときの喜びを分かち合うことができる。成功したときは思わずハイタッチしてしまいたくなる。
スポーツっていうほど激しい運動なわけじゃないし、体力もあんまり要らない。小さくて、気軽にできて、生活の中にスッと溶け込んでしまう感じがとても良いなと思っている。
けん玉と墨田区
自分がけん玉にハマった経緯を詳しく述べると、「墨東日記」というライター・イン・レジデンスの企画(ライターが一定期間その地域に住んで、そこで感じたことや得たものを文章にして発表する企画)に参加するにあたって、墨田区の京島やそのあたりの地域でけん玉が流行っているという話をきいたのがきっかけだ。まさか地域単位でけん玉が流行るなんてことある?と思いながら墨田区を案内してもらいながら歩いていたら、けん玉が置いてあるお店とか、けん玉を首から提げて歩いている人とかが本当にいて、スゲー!と思ったのだった。
その墨田区のけん玉ブームの火付け役となったのが、墨田区京島にある「halahelu」と「ムームーコーヒー」を経営する灰谷歩(はいたにあゆむ)さんだ。
歩さんはけん玉が上手なだけではなく、歩さんのお店「halahelu」でけん玉の販売も行っている。けん玉が上手なだけあって、人に教えるのも上手なので、歩さんのお店に行って置いてあるけん玉を触っているといつも的確なアドバイスをくれる。今回はそんな歩さんに、けん玉の魅力や、けん玉をはじめるときのアドバイス、楽しみ方などのお話を伺った。
-けん玉を始めたのはいつですか?
2014年の春か夏かくらいかな。友達が僕の家にけん玉を置いていったのがきっかけで。けん玉が置いてあるとやっぱり触るから、触ってたらハマっちゃって(笑)。そこから一回飽きたんだけど、けん玉のワークショップ行ったら、最近のけん玉の事情とか技とかにハマって、そこからもうガチで一回やろうと思って、やってるうちにかっこいいけん玉が欲しいなと思って自分の店で取り扱い始めたんだよね。そうしたらけん玉をする人たちが出入りするようになって、素晴らしい循環ができたという(笑)。取り扱い始めたのは2015年の2月とか3月かな。日本で海外のけん玉を取り扱ってる会社があって、そこにオーダーして卸させてもらっているのと、個人的に取引しているメーカーと2通りあって。
-けん玉を扱い始めた頃から墨田区全体で流行っていたわけじゃなかった?
流行ってはなかったけど、僕の周りの友達が数人、なぜかけん玉が家にあるパターンがあって。そうすると目につくから触るっていう。そこから3,4人ぐらいやり始めて、けん玉の界隈の人が出入りするようになって。僕も初心者の人にコツを教えたりとかしてて、やっぱりやり方がわかると欲しくなるというか。それでどんどん回っていって、結構いろんな人ができるようになって。この辺の人、みんな一定以上できるもんね(笑)
あとやっぱり広島はすごくて。廿日市とか、尾道とか、そこにもけん玉ショップがあって、集まってみんなでけん玉してて。こっちはもうちょっとゆるくやってる感じだけど、いつか墨田区からすごいプレイヤーを輩出したいね(笑)
-近くにあると触っちゃうし、触ってるうちにハマっちゃうのはわかります。
けん玉は入り口がすごい広いと思う。誰でも見たことがあるし、やったことある人も多いし。簡単な技は本当に簡単で、最初は皿に乗せるだけでも難しいけど、手順を踏んでやれば10分とかでできるようになるし。でも難易度の幅でいうとすごい広くて、いつまでも遊べる。あと、遊べる場所も幅広い。屋外の方がやりやすいんだけど、室内でもできる。準備するのも簡単でしょ。しまうときはくるくる巻いて置いたら終わりだし、そういう手軽さが結構大きい。それがみんなにも手に取ってもらえた理由だと思う。あとは、種類を選べるっていうのが今はプラスアルファで楽しい。
-これからけん玉をはじめる人にアドバイスがあれば教えてほしいです。
初心者でも、まず自分のけん玉を選ぶところが楽しい。普通けん玉っていうと赤い玉ってことしか思い浮かばないと思うんだけど、最近はいろんなカラーバリエーションがあったり、質感とかにもこだわってデザインされたけん玉がたくさんあるから、お気に入りのけん玉を選ぶのが大事。
あとは、誰にも教えてもらってなかった時って、玉がけんに刺さることって偶然なものだと思ってて。でも偶然に刺せた時の楽しさと、自分で狙って刺せた時の楽しさって全然違くて。狙って刺せるんだよっていうのを知った時に楽しさが広がって、練習したら百発百中になるんだ!みたいな。
歩さんのけん玉レクチャー 「村一周」をやってみる
-けん玉に初めて触れるひとにオススメの技はありますか?
狙って刺せる楽しさを実感するためは、まずお皿に乗せてから刺す技(「村一周」という名前がついている)を練習するのをオススメしてる。最初に大皿に載せるのを練習する人が多いから、大皿に乗せて、次にけんに刺せたら、めちゃめちゃ楽しいんじゃないかなと思う。
まず持ち方はこんな感じ。このパートが「皿胴」。縦のこれが「けん」。皿胴の方に指を詰めて持つとやりやすい。
1.まずは玉を手で乗せてからけんに刺してみる
本当に初めての人はお皿に乗せるだけでも大変だから手で乗せていい。大皿を上に向けてあげる。最初は手で大皿に玉を乗せる。その時に、穴が自分の方を向いている。
ここから穴をちょっと下に向けてあげて、よく穴を見ながらけんに刺す。チョットだけ傾けるっていうさじ加減をとにかく練習する。できた時のシンクロ感みたいな感じはすごく楽しい。
2.次は穴の向きを意識して玉を大皿に乗せる
これができたら、次は手で乗せないで、玉が下にある状態から大皿にあげて、さっきと同じポジションに持ってこれればOK。どうやったら自分の顔の方に穴が向くかっていうのを考えながら皿に乗せる。
けんと玉って、糸が張ってる時には同じように力が伝わるから、自分の内側を回って内回り、けんを内側に回す感じで回すと、つまり前に送ってあげると、こっちに向いてくれる。これがコツだね、完全に。
この二つを組み合わせると「村一周」ができる!
そのあとは、いろんな技があるけど、僕がハマったのはダウンスパイク(玉を下に落とした状態から持ち上げ、けんで玉を刺す技)だね。かっこいいし楽しい。これもコツはあるけど、halaheluに来てもらったほうが早いね(笑)あとはyoutubeを検索すると、How toの動画がたくさん出てくる。
歩さんくらいになるとこんなこともできる。
もしけん玉が気になって、やってみたい!と思ってくれた人は、墨田区のお近くにお住まいであれば、halaheluに行ってみるときっと楽しいと思う。そうじゃない人でも、最近はネット販売でもかっこいいけん玉が買える。
WEB上にもけん玉に関する情報がたくさんある。技のHow toはYoutubeで見ることができるし、上手な人のプレイはとても参考になる。
冬の運動に、ちょっとした暇つぶしに、部屋のインテリアに、そして何より生活に溶け込む身近な遊びとして、けん玉をはじめてみてはいかがだろうか。
◎halaheruのFBページ
◎muumuucoffeeのFBページ
◎かっこいいけん玉をネットから買える「グローバルけん玉ネットワーク」のWEBショップ
◎初心者向けの技を映像付きで解説してくれている「グローバルけん玉ネットワーク」のページ