壊して鳴らして
きっかけ
音が出るものが好き。
家にピアノがあれば良いのにと思っていたけれど、本物のピアノは高いので、電子ピアノで安いやつないかな〜と思ってしばらく探していたら、メルカリで500円の電子ピアノを見つけた。電池式で弦の数も少なかったけど、川に持ち運んだりして弾いたら楽しそうだな、と思って購入。
いざ届いて、電池を入れて音を鳴らしてみたら、あまりにチープさに笑ってしまった。随分と年季の入ったもののようで、ボリュームの調節機能が壊れていて常に最大、一度に二つ以上の音が出せない、音がとにかく単調(なんの倍音もない感じ)で、買ったはいいけどすぐに飽きてしまって、リビングの隅の方の床にしばらくほったらかしにしていた。
ある日、家に来た知人が、そのチープな電子ピアノを見て、「サーキットベンディングできるんじゃない?」と言い始めたので、その場にいた全員でワイワイしながら電子ピアノを分解してみた。
下の動画がそれ
サーキットベンディングって何?
そもそもサーキットベンディングって何だろう。私は、サーキットベンディングという言葉を知人から聞くまで知らなかったのだけど、一言で言うと「音の出る電子楽器の回路を改造して、変な音が出るようにする」ことらしい。サーキットベンディングで検索してみると、たくさんの動画をみることができる。
やり方と楽器の選び方
まず、ドライバーを用意して、楽器の蓋を開けよう。楽器の構造によってはスピーカーにつながっている線がすごく短くて、ぱかっと開けた瞬間、断線しちゃうこともあるから少し慎重に。
基盤がむき出しになっているところがあれば、音を鳴らしながら適当なところを指で触ってみるか、ハサミなどを使って、適当なところを通電させてみよう。やっているとどこかに音が変になる箇所がある。音が変になると言っても色々あるんだけど、ピッチが変わったり、壊れかけの機械みたいな音がしたりする。(実際、回路がショートしたりしているわけだから、壊れかけの機械なんだけど)
すごく回路に詳しい人とかなら別だと思うけど、全くわからないなら、楽器が古ければ古いほど、ベンディングしやすい。あらかじめ、いっぱいメロディが内蔵されているような新しめの楽器は、一つのチップの中に全てのあんな音出してね、こんな音出してねの情報が詰まっていることも多くて、そこに干渉することは難しいからだ。
入手方法
古いチープな電子楽器を入手する方法は大きく分けて二つ。
1.ハードオフなどのリサイクルショップで探す
2.メルカリやジモティなどのフリマアプリを利用する
もちろん、小さい時に遊んでいた音のなるおもちゃが実家に眠っている、というようなことがあったら、それでもいい。必ずしも楽器に限らなくて、単純な回路を内蔵している音のなるものならなんでも応用ができる。
いくつか楽器を集めて分解してみたけど、うまくできなくて、ただ音が鳴らなくなってしまっただけのやつも多い。なので宝物にしているものはやめてね。
写真のように、鍵盤系の楽器の場合、鍵盤の上のスペースに基盤があることが多い。
そこをむき出しにすると、見た目にテクノみが出て楽しい。
これは、3台目くらいに手に入れたやつで、あまりに良い音がするので、この時期はしばらくこれで遊んでばっかりいた。
変な音が鳴るだけで嬉しい
サーキットベンディングで調べると、ボタンやスイッチをつけたりしている例がたくさん出てくる。それらもすごく面白そうだな〜と思うけど、知識も材料もないしハードルが高い。個人的には、音量の調節ができなくて常に最大音量なのはやっぱり不便だから、ライン出力できればいいな〜と思って、それだけ挑戦してみたんだけど、抵抗の値の計算とかを全くしていなかったせいで、かなりお値段のはるイヤフォンが壊れてしまった苦い思い出がある。
指で触ったり、ハサミを当ててみるだけなら誰でもできるし、なによりも音を自分が鳴らしている、という感覚がすごくする。
音楽を作ることや演奏することは、誰でもができることではないけれど、音が鳴って嬉しい、楽しい、みたいな感覚は誰にでもひらかれているな〜と思う。