なない仕事のつくりかた ふたりめ

光線さんインタビュー #毛の居場所

◎光線さん
ぬいぐるみ作家
twitter:@co__sen

光線さんのショップ
https://storcosen.handcrafted.jp/

ぬいぐるみは小さい時から好き

- ぬいぐるみはなんで作り始めたんですか?

 小さい頃からぬいぐるみが好きで。自分で作るようになったのは中学生の頃ですね。趣味で手芸みたいな感じで作ってました。そこからしばらく作ってなくて。美大に入って大学の制作とは別に、またぬいぐるみを作るようになりました。その時も趣味ですね。

- 卒業後は就職して?

 卒業して、オモチャのメーカーに就職しました。デザイナーとして、フォトショやイラレで設計図書いたり。あとは企画と、ちょっと営業とか。でも一年くらいで、やりたいことができないなと思って、辞めちゃって。

- 辞めた時、ぬいぐるみで生計を立てようと考えていましたか?

 とりあえず辞めてやる!って辞めちゃったんですよ。勢いですね。辞めて実家で暮らしてました。
 どうしようって時期が一ヶ月くらいあって、ちょうど去年の今頃。その一ヶ月くらいで、大学時代のポートフォリオやサイトとは別に、趣味だけのツイッターアカウントを作って、それが今の光線です。やることないから、趣味としてぬいぐるみを作ってそのアカウントにあげていました。
 もともと布がすごい好きなんです。社会人の頃は、仕事終わりにユザワヤとかで使いもしない布を買って。社会人だとお金はあるんですよ、ただただ時間がない。それで溜まりに溜まった布が部屋の隅にあって。会社を辞めた時はその布で色々作ってましたね。ぬいぐるみも好きですけど、手触りのいいものが好きなんです。

- ぬいぐるみ作家として活動するようになった経緯を教えていただけますか?

 最初ビくんを買いたいという人が出てきて。それを売るためにネットショップを作ったんですよ。

手に持っているのがビくん。もともと音楽家、ビーフさん(@beeffantasy)のアイコンだった。

ショップを開くにあたって、ビくんだけだと寂しいなと思って、種類を増やしました。
 最初に作った子が私のアイコンになっています。
 三角のやつとか、ホコリとかもその頃ですね。もともとビーフさんの音楽がすごい好きだったので、ビくんを作ったら、ビーフさんが気に入ってくれて。そのことは、今の形でぬいぐるみ作家として活動を始めたきっかけとして、とても大きいですね。

好きなものと、作りたいものと、自分が作ったらこうなっちゃうっていうものが違う

- 光線さんの作るぬいぐるみは、かなり見た目の要素が削ぎ落とされていますよね。

 そうですね。あまり造形として目に入ってくる情報が多すぎると、手触りとか、ぬいぐるみ本来の良さが伝わらないな〜と思って、この形にしています。造形に凝れば凝るほど、窓口が狭くなって、好き嫌いが出てくるな、と。形がシンプルだからこそ、色々な人に受け入れられやすいのかな。
 いつも形より先に布を決めます。布は韓国の問屋街まで買い付けに行って、そこで手触りを確かめて、次にどんなぬいぐるみを作るか考えて。やっぱり、ぬいぐるみの手触りを知ってもらいたいです。

- 自分の中で贔屓にしているぬいぐるみとかいるんですか?

 いますいます!部屋にいっぱいぬいぐるみあって。一つは生まれた時におばあちゃんが買ってくれたウサギのぬいぐるみ。もうボロボロで見せられるものではないんですけど。あとは、鴨のぬいぐるみ。鴨なんですけど鴨の生皮をかぶった別の鳥っていう設定らしくて。わけわかんないですよね。

- 光線さんの作るぬいぐるみのイメージとは違いますね。

 そうなんですよ。好きなものと、作りたいものと、自分が作ったらこうなっちゃうっていうものが違うんです。原宿カルチャーとか渋谷カルチャーのものが好きで憧れてた時期もあったんです。でもそれを形にしようとは思えなくて。自分が作るとどうしてもムーミンとかに出てきそうな感じになっちゃう。

- なるほど〜

 でも作ってる作業は、変わらず楽しいんです。全くストレスが溜まらない。ぬいぐるみを作るのにかかる時間を仕事している時間とみなすなら、会社に勤めていた時よりも長い時間働いてますけど、楽しいですね。

計画性もって暮らすのやめようと思って

- 今、ぬいぐるみ作家として活動していく中で、不安になることってないですか?

 これがないんですよ、困ったことに。一切なくて笑。もちろん会社辞めた時は不安でした。やりたいこともなかったし。でも今のスタイルになってから全然不安はないです。
 人生において遊びが一番上にあるんです。旅行とかドライブとか。夜中じゅう友達と缶チューハイ持って街歩いて、棒投げてその先っちょが向いた方に行ってみるみたいな。今は遊ぶために働いてるみたいなところがあるので、あまり先のこと考えられない、人生設計とか。人によっては10年後の人生をきちんと考えて、そこに向かって逆算して出会いを探していったりしますよね。でもその辺は考えてもどうにもならないな〜と思ってて。
 今こういう形で光線として活動しているのにも、やっぱりビーフさんがいきなり声かけてくれたのがすごい大きいです。それは予想していたり、計画していたことではないけれど、結果的にいい方向に転んでいて。計画立てて、就職した結果辞めてるから、あんまり計画性もって暮らすのやめようと思ってます。
 父親も自営業で父親の兄も自営業で。祖父も自営業で。だからもともと会社に入った時も、ずっとそこに身をおき続けなければならない、みたいな固定概念みたいなものはなかったですね。

- ずっと今のスタイルでぬいぐるみを作り続けていくんでしょうか?

 わからないですね。好きなものはたくさんあるし、言ってしまえば趣味なんです、生活の中の趣味。けど、私が今作っているぬいぐるみを好きでいてくれる人がいる間はやめないと思います。

- #毛の居場所 でツイッターを検索すると、光線さんの作ったぬいぐるみが、色々な人の生活の場の中にいる様子を見ることができて素敵ですよね。

 #毛の居場所 とても気に入ってるんです。自分の作るぬいぐるみに対して、しっとりとしたイメージを持って毛並みを整えている人もいれば、毛を逆立てて、威嚇した鳥みたいな、そういう印象で捉えている人もいる。人によって全然違います。

私の手を離れた瞬間から、その人が勝手に感情移入して好きなようにしてくれたらいいと思っています。そういうのが、ぬいぐるみのいいところでもあるし。

- 今後の展望など教えていただけますか。

 今年中に、事務所兼自宅みたいなものを作れたらいいなと思っています。今は発送作業も全部自分でやっているし、布切ったり、縫ったり全部の過程を一人でやっているので、やっぱり生産量に限界があって。ちょっと手伝ってくれる人を雇えたらいいな〜と思っています、一緒に楽しくやれる人。シェアオフィスとかそういう働き方もいいなと思っています。

このクリーム色のは、サウンドクラウドの雲のぬいぐるみ作ろうと思って作ったんです、でも型紙通りにならなくて、生姜です笑。

この子が一番人気で。黒猫ぽくて可愛い。

死なない仕事のつくりかた

話を聞きに行った人

野口、郷田いろは

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