花を買うはなし

理由なく部屋に草花を飾りたいことがある。

見た目の華やかさはもちろん、部屋に「自分以外の何かがいる」感覚は生活に刺激を与えてくれる。
鉢で大切に育てている植物、そのへんで摘んできた野草なども良いが、花屋に花を買いに行くのがいっとう好きだ。丁度いい長さに切られ、紙に包まれて手渡された植物を手に街に出れば、なんだか特別なものを運んでいるような楽しさがある。

自分に花を買うために、はじめて一人で花屋に入った時はかなり緊張した。家に飾ってみたい気持ちはあるものの、何を、どこで、いくらで買えばいいのかさっぱり分からない。買ったあとの手入れの心配もある。しかし、お気に入りの花が見つかって、行きつけの花屋ができたら、自然と花が生活に溶け込んできた。覚えてしまえば花の手入れもそう難しくない。

以前ynemnさんが鉢で育てる草花の紹介をしたが、この記事では花屋で買える切り花(草、枝等も含む)について取り上げる。

鉢の植物についてはこちら

花屋に行ってみよう

駅の近くや商店街、百貨店の中。花屋は様々な場所にある。
それぞれ切り花に力を入れていたり、鉢物や贈答用のアレンジメントをメインにしていたりと、花屋のタイプも多種多様だ。最初は知らない店に一歩踏み入る勇気が必要かもしれない。
贈られたり飾られたりするために育てられ、切り売りされている花たちである。せっかくだからいい花屋から買って、大事に長く観賞したい。
知人の花屋3人にいい花屋を見つけるポイントを訊いてみたところ、以下のような回答があった。

・Aさん(40代、花屋歴10年以上)
「花瓶の水がきれいか、花が開ききっていないかをよくチェックしますね。開いた花が置いてあったとしても、綺麗に満開に咲かせてあげられているか。花って日常に必要不可欠なものじゃないから、花屋さん本人が朗らかで愛嬌があることも重要かもしれない。この人から買おうって思える人がいて、次からその人を指名して選んで貰えば、花屋も嬉しいし。」

・Bさん(30代、花屋歴10年以上)
「花の回転が早くて、いつ行っても新しい花が置いてあるお店はそれだけ人気なんだなと思います。あと、季節の花が置いてあって、それが元気にしているか。この時期だと紫陽花とかは萎れやすいから、元気に咲いているお店はお手入れ上手。」

・Cさん(20代、花屋歴4年)
「わたしもよく自分の職場以外の花屋さんに行きますが、コンセプトがしっかりしているお店が好きです。人気のエリアはバラ1輪で1,000円以上が相場になっていたりするけれど、それでも納得して買えるくらいの付加価値があれば買う。あと、珍しいお花を置いているお店、いつ行っても違うお花を置いているお店がいいですね。」

ついでに、自宅用の花を数輪だけ買うのにまだ抵抗があるのですが…と相談してみたところ、皆さんから
「気にせず買ってあげてください!このくらいの花瓶があって、しばらく楽しみたいから長持ちする花が欲しいとか、来客があるから季節の花が欲しいとか、仰っていただければお手伝いします。切り花は人に貰われなければやがて廃棄されてしまうから、一本でも多く人の手に渡ってほしい。」
と、勇気付けられるお返事があった。

[花を選ぼう]

組み合わせを考えるのは楽しい

家に飾るものだから、好きなものをいくらでも選んでよい。
お気に入りの花を見つけたら、手に取る前に店員さんに声をかけよう。
自分で花瓶から抜き取ると、デリケートな花びらを傷つけたり、細い茎を折ったりしてしまうことがある。また、バラは棘が処理されていないことがあるから、うかつに手に取ると刺さる。この中から元気な花を1輪選んでくださいと伝えれば、店員さんが見極めてくれるだろう。

切り花からレジまでが遠く、自分で持って行かなければいけない店も稀にある。その場合は、花が開ききっておらず、葉っぱがシャキッとして、茎が変色していないものを選ぼう。
花の種類が多い花屋は、価格を記載していないことがある。これは仕入れ値が変動するからで、価格を知りたいものは気軽に訊いていい。
お会計の前に、自宅用でラッピングが要らないこと、希望の長さ、保水が必要な旨を伝えよう。また、自宅でお手入れに困ったときのために、花の名前をメモしておくといい。

[花を飾ろう]

【いるもの】

・花瓶…耐水性がある器ならなんでもよい。金属製の器は、水にさらし続けると錆びてしまうものがあるから気を付けよう。錆びは植物を枯らしてしまうことがある。

ホームセンターでm単位で売っているホースの端っこ (圧着されている、通称当たりのホース) に穴をあけてテグスを通しただけの1輪挿し

飲み物の瓶を使うときはしっかり洗ってから

・鋏…できれば花鋏。ホームセンターや園芸店で数百円から購入できる。最初は小さい鋏で構わないから、1本あると便利だ。

・水の調整剤…あると花の持ちが良くなる。ホームセンターや園芸店で購入できる。

買ってきた花を飾る前の準備として、茎を少し切り詰めてやる。
持ち運んだ茎の断面は乾燥していて、水をうまく吸えないことがあるからだ。
可能であれば、水を張った容器につけたまま切りもどして、切り口が空気に触れないようにするとよい。

お手入れについて

【やりかた】

1. 花瓶の水を1日1回交換してやる(その際花瓶が白く曇っていたら洗う)。夏場は特に水を多めに。

2. 茎の先を少し切り詰める。バラなどの硬い茎はできるだけ鋭角に。枝は切った後、縦にも切り込みを入れてやると良い。茎が変色している場合は、その部位を思い切って切り捨てよう。断面が乾く前に花瓶に活けてやる。

3. 直射日光が当たらず、空気の入れ替えがある場所に飾る。その際切り花用の調整剤を水に加えてやると、花が長持ちする。 種類によっては茎に別途処理が必要なものや、花瓶に水を入れすぎない方がいいものもある。花屋さんで聞いたお手入れ方法を参考にするか、メモした名前からインターネットで調べてみよう。

花が枯れる前に

ドライフラワーとして長く飾り続けられる花がある。うまく乾きやすい花/乾きづらい花の一部を以下に挙げておく。

○乾きやすい(ドライフラワーにできる)
バラ、エリンジューム(別名スターチス)、センニチコウ、ユーカリ、ニゲラの実、カスミソウ、コアラファン、ウーリーブッシュ、ネイティブフラワーと呼ばれるアフリカやオーストラリア原産の特殊な草花 など。

×乾きづらい(ドライフラワーに向いていない)
チューリップ、芍薬、菊、カラー、ユリ、ヒマワリ、実がなる多くの草木 など。
菊のように、花びらがごっそり散ってしまうタイプの花はドライフラワーにすることができない。作り方は簡単だから、購入した花は一度検証してみるといい。

【ドライフラワーの作り方】
1. 開ききる直前の花を花瓶から取り出し、濡れている部分をキッチンペーパーなどで優しく拭く。
2. 花びら同士が重ならないように互い違いに束ね、麻紐などで縛る。
3. 直射日光があたらない、風通しの良い場所に逆さまに吊るす。
そのまま逆さ吊りで飾る。茎が丈夫なものは花瓶に生けてやってもよい。

自然乾燥のドライフラワーは多少退色する。色の変化を味として楽しむのも良いが、市販のドライフラワー用シリカゲルを使うと、より生花の色合いを保ったまま乾燥させることができる。
ドライフラワーにできない花は、自治体のガイドラインに従って早めに処分しよう。花瓶を洗い、新たな花を迎える準備をしてやる。

[花のある生活]

花は日常に不可欠なものじゃない。別になくたって生きていける。
ただ、花を買って帰る喜びは他と比べようがなく、毎日鮮やかな彼らが元気に迎えてくれる光景は格別である。
日常に刺激を与えるため、同居人を喜ばせるため、来客をもてなすため、写真を撮ってSNSにアップするため……長くかわいがって楽しめるのなら、動機はなんでもいい。
一度花屋に足を運んで、四季折々の色を楽しんでみてはいかがだろうか。

この記事を書いた人

巡礼

なんでもつくる晴れ女

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