自家焙煎コーヒーの入り口

気持ちのいいコーヒーが家でも飲みたい

コーヒーが好きだ。

友人の淹れた自家焙煎コーヒーのおいしさに衝撃を受け、自分ではじめてみてからというもの、かれこれ3年ほど自宅で楽しんでいる。喫茶店にもよく行くけれど、おいしいコーヒーを飲むことを目的にするのならば、自家焙煎のほうが豆や焙煎加減を好みに調整できるから収まりがよい。

金銭面でみると、お店のスペシャルティコーヒーがだいたい1杯800円のところ、自家焙煎コーヒーであればだいたい1杯23円で飲むことができる(豆のみで計算すると)。それは、あくまでコーヒーを飲むことだけに注目した場合の話である。

店で過ごすことそれ自体が好きだ(価値がある)と思っているから自家焙煎を推奨するわけではない。が、やってみるときっと楽しい。

また、コーヒーについて調べていると健康面でも気をつけておきたいことが見えてくる。多くの人へ提供しなければならないお店や市販のコーヒーでは、気持ちよく飲むために必要な工程(体に悪い豆をはじくなど)が省かれている(場合がある)。自分がいかに気持ちよくありたいかを考え追求すると全てを自前で揃えたくなるそれが、自家焙煎に昇華されている。

いるもの

材料

作り方

煎る前の準備、ハンドピックをする。

気持ちのいいコーヒーを飲むためには、豆を焙煎をする前に悪い豆やゴミをあらかじめ取り除いておく必要がある。この作業をハンドピックと呼ぶ。

輸出する前にこの作業をするコーヒー農園もあるが、それでも取り除けていなかったり輸出の最中で豆が悪くなることもあるため、必要な作業と言える。輸出経路や農園の在り方、その製法、生産ロットによってはこの作業で半分以上も悪い豆が見つかることがある。

そういった豆に当たるとひどく悲しむが、自家焙煎にはつきものである。生産ロットと農園を記録して注文をやめれば良いだけの話だ。

ハンドピックを進めていくと、このような豆、いわゆる欠点豆の存在が明らかになる。

左から順に、「虫食い、過発酵、未成熟、青カビ、欠け、しもやけ」の豆だ。これらはコーヒーの雑味になったり異臭のもとになったりするだけでなく、健康被害をもたらす可能性がある。

コーヒー豆のカビは焙煎程度の火力では消滅しない。このカビにはアフラトキシンやオクラトキシンなどのカビ毒が含まれていて、発がん性物質や肝機能を害するなどの性質がある。かなり最悪である。

市販のコーヒー豆はハンドピックの工程などがないため、このカビた豆が当たり前のように使われる。コーヒーを飲んだあとにくる胃のムカつき、悪心吐気や腹痛などはこれらのせいとも言われている。気持ちよく飲むためには徹底的に排除する必要がある。

補足だが、カフェインには抗菌作用があるのでデカフェの豆に特に起きやすいとも言われている。

こうしてハンドピックを終えた上質な豆が焙煎される。銀杏煎りにざばーっと入れ、蓋が開かないように指やクリップなどで押さえる。

火力を中火に設定し、銀杏煎りの底から約20cmくらいの距離を保ちながらシャカシャカ振る。

生豆のときに香る青っぽい香りから、徐々にあの喫茶店で香るような芳ばしく甘い熱気が立ち込めてくる。

色の変化に気をつけながらこの香りを楽しんでいると、ポン!とかパチン!と勢い良く豆が弾けはじめる。この最初の弾け音を1ハゼと呼び、このまま煎り続けるとピシピシと音を立て2ハゼが起きる。これらを焙煎度の目安とする。

1ハゼが終わる頃はミディアム・ロースト(酸味が際立ち苦味はほとんどない)、1ハゼと2ハゼの中間はハイロースト(酸味も苦味もほどほど)、2ハゼが始まるころをシティロースト(酸味と苦味のバランスがよい)…など火から豆を離すタイミングで8段階の焙煎豆を作ることができる。

焙煎時間は10〜15分程度だが、豆や気候にも左右されるので即興力が試される。

こうして焙煎し終えた豆を速やかに冷やす。バットにあけてうちわで扇いだりドライヤーで風を当てたりする方法もあるが、私はベランダで銀杏煎りを振り回している。急激に冷やすのは豆を蒸らさないように(余計な水分を逃がす)するためである。

焙煎が終わるとコンロはこの有様になるので、掃除が必要になる。自家焙煎の負の部分である。

煎り上がった豆は3日間くらいはガスを発生し続けるので、すぐに密閉容器に入れるより外気に晒し続けるほうがよいと言われる。が、これは好みである。この外気に晒しておくガス抜きや酸化の加減を調整するのも、自家焙煎ならではの醍醐味である。

豆は密閉容器に保存すると常温では2週間ほどは香りが保てる。1杯分(10g~15g程度)を小分けにして冷凍すれば香りを損なうことなくいつでも楽しめる。容器は100円ショップなどでも手に入るだろう。

欠点豆は捨てずに取り置き、集まったら焙煎して不織布などの袋に入れれば、衣類の芳香剤や冷蔵庫の脱臭剤としても使うことができる。

この記事を書いた人

サトー

オールドファッション穴ぐら